FX取引というのは一般的に米ドルやユーロなど、取引したい外貨の安い時に買いポジションを持ち、高くなったら売却して利益を得るものです。
逆に、売りポジションを持って、価格が下がったら買い戻して利益を得ることもあります。
また、同じ通貨で買いポジションと売りポジションを同時に持つ、「両建て」という取引手法の行われることもあります。
ところが、リピート系FX自動売買ツールではまれに、「すくみ」という特殊な取引手法の採られることがあります。
すくみ
すくみは簡単に言うと、複数の通貨を同時に注文することです。
通貨ペアの数によって、3すくみ・4すくみ・5すくみなどがあります。
例えば、3すくみの場合は、以下のような注文を出します。
1.日本円を売って米ドルを購入
2.米ドルを売ってユーロを購入
3.ユーロを売って日本円を購入
すくみを行う背景には、世界を一つの市場と見た場合に、通貨全体の絶対的な価値が減ることはなく、相対的に価値が増減するだけ、という考え方があります。
つまり、シーソーのようにどこかの国の通貨の価値が高くなれば、どこかの国の通貨の価値が低くなり、低くなった通貨の価値が上がれば、どれかの通貨の価値が下がります。
また、3すくみを勝負の観点で見ると、ジャンケンに例えられます。
相手が何を出しても、こちらはグー・チョキ・パーの3つを出します。必ず1つは勝ち、1つは負け、1つはあいこになり、絶対に負けることはありません。すくみによっていくつもの通貨を組み合わせることで、リスクを分散できます。
すくみは両建てと同じ
前記の3すくみの注文は複雑になっていますが、各ポジションを入れ替えると以下のようになります。
1.米ドル買い:米ドル売り
2.ユーロ買い:ユーロ売り
3.日本円買い:日本円売り
つまり、結果的には3つの通貨でそれぞれ買いと売りの両建てをしているということです。
両建てで利益の取れる仕組み
両建ての場合は同じ通貨で買いと売りの両方のポジションがあり、利益と損失が同時に出るため、無駄のように思えます。ところが、自動売買ツールでは利益が取れるようになっています。
その理由は、自動売買ツールは指定した価格で買い、指定した価格で売るという取引だからです。つまり、利益を取れるポジションのみ決済され、含み損の出ているポジションは決済されないために損失が出ません。
そして、FX相場の70%はレンジ相場であり、価格が一定の値幅の中で上下動を繰り返すため、現在は含み損が出ていたとしても、やがて為替が戻って利益が生まれるようになります。この仕組みがあるからこそ、すくみの取引が成り立ちます。ただ、取引が煩雑になるため、滅多に採られる手法ではありません。